スワロウテイル人工少女販売処

 ハヤカワ文庫から出たSF小説。SFって自分には全然馴染みがないのですが、日本でSFってったらハヤカワのイメージがありますね。作者は結構昔に電撃文庫で「θ 11番ホームの妖精」っていう本を出してデビューした人です。籐真千歳。その後はしばらく音沙汰がなかったのですが、ハヤカワから本を出しますっていう話があって、自分の知っているのはそこまででした。こないだ立ち寄って偶然見つけたので購入したといったところ。
 超適当にどういう設定か書くと「男性と女性が感染症の蔓延により共存できなくなった世界で、それぞれの性の代わりに生み出された『人工妖精』という心を持った機械の話」といったところで。いや本当に超適当に書きましたが。
 ラノベ出身の作者だけあって、まあ割りとラノベ的な展開をしてると思います。ラノベ的ってなんだよって言われても雰囲気としか言えないのですが、強いて言うならキャラ立てとか会話とか、素直な展開とか。
 人工的に作られた存在というのにありがちな話で、アイデンティティとかその辺が話の中心になってきます。世界観のネタばらしみたいなものは私なりにイメージするSFっぽい要素満載でした。
 そもそもSFの定義って何なのってことで、困った時に手軽に調べられるwikipedia先生に訊いたところ、独自研究項目ばかりでした。ラノベは「あなたがラノベだと思ったものがラノベです。他者の同意を得られるとは限りません」でいいと思うのですが、SFとかミステリとかそういうジャンル分けの議論は不毛かもしれませんがあってしかるべきなのかとも思います。
 面白かったです。この本は「ラノベ」だと思いますが、平凡な主人公の所に突如○○がみたいなラノベは目が腐りきるほど読み飽きたので、そのような物と比較すれば全く飽きない作りになっていました。SF小説としてどうなのかは知りません。昔読んだ「幼年期の終わり」とか「ディファレンス・エンジン」とかに比べると、ああいった重厚なものはなかったのかなと思います。比較でしか言えないのが自分の感想を書く限界ですが。

スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)

スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)

θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)

θ(シータ)―11番ホームの妖精 (電撃文庫)

 (以下追記)
 「スワロウテイル人工少女販売処 (ハヤカワ文庫JA)」を含むはてなダイアリーの人気ブログ、で他の人の感想を見ようと思ったら、はてなダイアリーのID(でいいんだっけ?)が「p17n」って人をみかけてつい笑ってしまった。p17nはいいゲームでした。